☆断らない

 

すぐ断る??

 

 

 

ある有名な方と朝食をご一緒したときのことです。

場所は彼が東京で定宿にしている一流ホテル。

彼は頻繁に東京に滞在し、相当の金額をそのホテルに落としている上顧客です。

 

 

「あれ、メニューが変わったんだな」。

新しいメニューを開くと、彼はそう呟きました。

そして、宿泊するたびに食べていた料理が、なくなっていることに気づいたのです。

 

 

彼はウェイターを呼ぶと、いつも食べていたスクランブルエッグと焼いたベーコン、

フルーツの盛り合わせをオーダーしたいと頼みました。

そして、自分の焼き加減の好みはシェフが知っているはずだから確認してほしい、

と付け加えました。

 

 

ところが、そのウェイターは即座にこう答えました。

 

 

「恐れ入りますが、メニューにないものはお作りできません」

 

 

彼は納得がいきません。

決して珍しい食材を使った料理をオーダーしているわけではないし、

つい先日まで実際に存在していたのだから、できないはずはありません。

 

 

しかしウェイターはその場を動かず、朝から「面倒くさい客」に

当たった自らの不運に耐えるような表情で、さらにこう付け足しました。

「大変申し訳ありませんが、メニューが変わりましたので、

この中からお選びいただけますでしょうか」

 

 

 

問答無用の返答は大けがを招く!

 

 

 

彼が怒ったのは無理もありません。

ここは安さで勝負しているビジネスホテルでも、繁華街の定食でもありません。

毎回高額の宿泊料を払っているのに、

こんな小さな希望も問答無用で跳ね返されてしまったのですから。

 

 

彼は支配人を呼ぶと、

宿泊を変えるから預けている荷物を全てまとめるようにと伝えました。

支配人は慌ててウェイターから事情を聞き、

新人でまだ教育が行き届いていなかったことを認め、

丁寧に謝罪を繰り返しました。

 

 

メニューにないものは作れない、という対応は、100%間違っているとは言えません。

中華料理でフランス料理をオーダーしても無理なのは当たり前です。

しかし、このケースはそれに当たりません。

 

 

 

ウェイターは少なくともそれが本当にできないことなのかを

厨房に行って確認する必要がありました。

 

 

 

シェフはきっと快く引き受けたでしょうし、その過程で、

この「面倒な客」が実はホテルにとって大変な上顧客であることを

周りから教えてもらえたかもしれません。

 

朝食なんて、高くてもせいぜい何千円。

しかし、彼が数ヶ月のうちに使う宿泊費は、数百万になるはずです。

 

相手の話を十分に聞かずに、自分の都合だけで話してしまう。

これはビジネスでもプライベートでも往々にしてあることです。

 

 

相手が何かを言っているのなら、まず聞き、意図を理解し、

受け止めるというプロセスが必要です。

 

 

何事も、いきなり

 

問答無用に断ってはいけない

 

のです。

 

 

 

即答は相手の意思を無視することである

まず聞き、理解し、それから話す!