☆「起→承→転→結」の順を心得ている

 

いきなり「転」から話し始める??

 

 

 

「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました。

おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、

多いな桃が流れてきました・・・。」

 

桃太郎のストーリーは、こんな調子で始まります。

 

この出だしは実に見事に作られています。

 

何がいいのかというと、

 

 

この短い文章の中に、起承転結と背景の説明が、

過不足なく収まっていることです。

 

 

実際は、「結」は含まれていませんが、

 

 

「結」がどうなるんだろう?という期待感をすでに持たせる文章になっています。

 

 

 時は昔、場所はあるところ。登場人物はおじいさんとおばあさん。

そして2人の日常が描写され、そこに「大きな桃」という、

あり得ない事態(「転」)が突如として描かれることで、物語は動き始めるわけです。

 

もし、いきなりおじいさんとおばあさんが大きな桃に出くわすところから

書き始めたら、おそらくここまで長い間語り継がれることはなかったでしょう。

 

と言うのも、出だしのエピソードにおける2つのサプライズ、

つまり大きな桃が川を流れてくることと、桃から赤ん坊が生まれることは、

子供から見ても少し突飛です。

そこに至るまでの説明を簡潔ながらも丁寧にしてあげないと、

決して食いついてはくれません。

「川に桃なんか流れてくるわけないじゃん!」と言われて、

そこで終了です。

 

 

 

どのタイミングで「転」を出すか、それが問題だ

 

 

 

話のつまらない人は、いきなり「大きな桃が流れてきました!」と話す人です。

 

 

起承転結というのは、起があり承があって、初めて転が際立ちます。

 

 

だからどれだけ転にどれだけインパクトがあり、面白いことであったとしても、

 

 

絶対に起承を疎かにしてはいけません。

 

 

その面白さが伝わらなくなります。

 

実際にこんな話を聞いた話があります。ある知人が

「偶然街で昔の親友に会ったら、おかまになっていてびっくりしちゃったよ!」

というのです。

しかし、いくら当人が驚いたとしても、聞いていた僕には何も伝わりません。

知り合いの友人なんて僕にとってはただの他人ですから、

「ふーん、そうなんだ」としかリアクションのしようがありません。

おかまに対する、特別な感情もありません。

 

ただ、よく聞くと案外面白い話です。

昔はスポーツ万能、身体はがっしりしていて男らしく、

勉強もできて商社に勤務していて、丸の内でビシッとスーツを着ていたのだとか。

それが、いきなりオネエ言葉で話しかけてきておかまになったと

カミングアウトされたのですから、それはびっくりしたでしょう。

 

でも、これらの基礎的な情報や背景説明がないと、驚きがありません。

 

 

しっかり転、結を際立たせることができるかどうかは、

起と承の話し方にかかっています。

 

 

 

起承を飛ばして転結を語ってはいけない

どの段階で「大きな桃」が流れてきたかを思い出せ!